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延喜式巻第八 
神祇八

六月晦大祓(みなづきのつごもりのおほはらえ)十二月(しはす)も此に准へ〕

 集侍(うごなはりはべる)親王(みこたち)諸王(おほきみたち)諸臣(まへつきみたち)百宮人(もものつかさのひと)(ども)諸聞食(もろもろききたまへよ)(のりたまふ)
天皇(すめらが)朝廷(みかど)(つかへ)(まつ)比礼挂(ひれかくる)伴男(とものを)手襁挂(たすきかくる)伴男(とものを)靫負(ゆぎおふ)伴男(とものを)(たち)(はく)伴男(とものを)伴男(とものを)八十(やそ)伴男(とものを)(はじめ)て、官官(つかさづかさ)(つかへ)(まつ)(ひと)(ども)過犯(あやまちおかし)けむ(くさ)(ぐさ)(つみ)を、今年(ことしの)六月(みなづきの)(つごもり)大祓(おほはらへ)に、(はらへ)(たま)(きよめ)(たま)(こと)を、諸聞食(もろもろききたまへよ)(のりたまふ)

 高天原(たかまのはら)神留(かむづまり)(ます) 皇親神漏岐(すめむつかむろき)神漏美(かむろみ)(みこと)(もち)て、 八百万(やほよろづの)神等(かみたち)神集(かむつどへ)集賜(つどへたま)ひ、神議(かむはかり)議賜(はかりたまひ)て、(あが)皇孫(すめみま)()(みこと)豊葦原(とよあしはら)水穂(みずほ)()(くに)を、安国(やすくに)(たひらけ)所知食(しろしめせ)と、事依奉(ことよさしまつり)き。如此(かく)(よさ)(まつり)国中(くぬち)に、荒振(あらぶる)神達(かみたち)をば 神問(かむとは)しに(とは)(たまひ)神掃掃賜(かむはらひにはらひたま)ひて、語問(こととひ)磐根(いはね)(この)(たち)(くさ)()垣葉(かきは)をも語止(ことやめ)て、天之磐座(あめのいわくら)(はなち)(あめ)()八重雲(やへぐも)伊頭(いつ)千別(ちわき)千別(ちわき)て、天降依(あまくだしよ)さし(まつり)き。
如此()()さし(まつり)四方(よも)()国中(くになか)と、大倭(おほやまと)日高見(ひたかみ)()(くに)安国(やすくに)(さだめ)(まつり)て、下津(したつ)磐根(いはね)宮柱(みやはしら)太敷立(ふとしきたて)高天原(たかまのはら)千木(ちぎ)高知(たかしり)て、皇御孫(すめみま)()(みこと)美頭(みづ)御舎(みあらか)仕奉(つかへまつり)て、(あめ)()御蔭(みかげ)()()御蔭(みかげ)隠坐(かくりまし)て、安国(やすくに)(たひら)けく所知食(しろしめさ)国中(くぬち)に、成出(なりいで)(あめ)()益人等(ますひとら)(あやまち)(おかし)けむ雑々(くさぐさの)罪事(つみごと)は、天津罪(あまつつみ)畦放(あはなち)溝埋(みぞうめ)樋放(ひはなち)頻蒔(しきまき)串刺(くしさし)生剥(いきはぎ)逆剥(さかはぎ)屎戸(くそと)許々太久(ここだく)(つみ)天津罪(あまつつみ)法別(のりわ)けて、国津罪(くにつつみ)生膚断(いきはだだち)死膚断(しにはだだち)白人(しらひと)胡久美(こくみ)(おのが)(はは)犯罪(をかすつみ)己子犯罪(おのがこをかすつみ)母子(ははとこ)犯罪(をかすつみ)(こと)(はは)犯罪(をかすつみ)(けもの)犯罪(をかすつみ)昆虫(はふむし)(わざはひ)高津神(たかつかみ)(わざはひ)高津鳥(たかつとり)(わざはひ)(けもの)(たふ)蟲物(まじもの)(する)(つみ)許々太久(ここだく)(つみ)(いで)む。如此(かく)(いで)ば、天津(あまつ)宮事(みやごと)(もち)て、大中臣(おほなかとみ)天津(あまつ)金木(かなぎ)(もと)打切(うちきり)(すゑ)打断(うちたち)て、千座(ちくらの)置座(おきくら)(おき)(たら)はして、天津菅(あまつすが)そを(もと)苅断(かりたち)(すゑ)苅切(かりきり)て、八針(やはり)取辟(とりさき)て、天津祝詞(あまつのりと)太祝詞事(ふとのりとごと)()れ。如此()くのらば、天津神(あまつかみ)(あめの)磐門(いはと)押披(おしひらき)て、(あめ)()八重雲(やへぐも)伊頭(いつ)千別(ちわき)千別(ちわき)て、所聞食(きこしめさ)む。国津神(くにつかみ)高山(たかやま)()(すゑ)短山(ひきやま)(すえ)(すゑ)登坐(のぼりまし)て、高山(たかやま)()伊穂理(いほり)短山(ひきやま)伊穂理(いほり)撥別(かきわけ)て、所聞食(きこしめさ)む。如此(かく)所聞食(きこしめし)てば、皇御孫(すめみま)()(みこと)朝廷(みかど)(はじめ)て、天下(あめのした)四方国(よものくに)には、(つみ)()(つみ)不在(あらじ)と、科戸(しなど)()(かぜ)(あめ)()八重雲(やへぐも)吹放(ふきはなつ)(こと)()(ごと)く、(あした)()御霧(みきり)(ゆふべ)()御霧(みきり)朝風(あさかぜ)夕風(ゆふかぜ)吹掃(ふきはらふ)(こと)()(ごとく)大津辺(おほつべ)(いる)大船(おほふね)を、()解放(ときはなち)(とも)解放(ときはなち)て、大海原(おほうなはら)押放(おしはなつ)(こと)()(ごと)く、彼方(をちかた)()繁木(しげき)(もと)を、焼鎌(やきがま)敏鎌(とがま)()打掃(うちはらふ)(こと)()(ごと)く、遺罪(のこるつみ)不在(あらじ)と、祓賜(はらへたま)清賜(きよめたまふ)(こと)を、高山(たかやま)短山(ひきやま)()(すゑ)より、佐久那太理(さくなだり)(おち)たぎつ速川(はやかは)(せに)(ます)瀬織津比咩(せおりつひめ)(いふ)(かみ)大海原(おほうなばら)持出(もちいで)なむ。如此(かく)持出(もちいで)(いな)ば、荒塩(あらしほ)()(しほ)八百道(やほぢ)八塩道(やしほぢ)()(しほ)八百会(やほあひ)()速開都比咩(はやあきつひめ)(いふ)(かみ)(もち)可可呑(かかのみ)てむ。如此()可可呑(かかのみ)てば、気吹戸(いぶきどに)()気吹主(いぶきどぬし)(いふ)(かみ)根国(ねのくに)底之国(そこのくに)気吹(いぶき)(はなち)てむ。如此()気吹(いぶき)(はなち)てば、根国(ねのくに)底之国(そこのくに)(ます)速佐須良比咩(はやさすらひめ)(いふ)(かみ)持佐須良比(もちさすらひ)(うしなひ)てむ。如此()(うしなひ)てば、天皇(すめらが)朝廷(みかど)(つかへ)(まつ)官官(つかさづかさ)(のひと)(ども)(はじめ)て、天下(あめのした)四方国(よものくに)には、今日(けふ)より(はじめ)て、(つみ)()(つみ)不在(あらじ)と、高天原(たかまのはら)(みみ)振立(ふりたてて)聞物(きくもの)と、(うま)牽立(ひきたて)て、今年(ことしの)六月(みなづきの)晦日(つごもりの)夕日(ゆふひ)()(くだち)大祓(おほはらへ)に、祓給(はらへたま)清給(きよめたま)(こと)を、諸聞食(もろもろききたまへよ)(のりたまふ)

  四国(よくにの)卜部(うらべ)()大川道(おほかはぢ)(もち)退出(まかりいで)て、祓却(はらひやれ)(のりたまふ)


青木紀元著 祝詞全評釈 より
 
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