◇神道と仏教 葬儀・死生観の違い
神道 神葬祭は日本古来の信仰に基づいた葬儀です。地方の習慣により儀式に若干違いもあります。故人の生前の業績を述べ遺徳をしのびつつ、祖霊となって遺族を守ってくれるよう願う儀式です。故人の霊魂は祖先の霊とともに家族の守護神となります。
死後の世界と現世は連続するところに存在し、故人は正月・盆・彼岸・命日には現世とあの世の境界を自由に往来し、子孫の元に帰ることができると考えられています。
仏教 それぞれの宗派の教義・宗旨によって、葬儀の意義や儀礼、死生観に違いはありますが、概ね、輪廻転生思想に基づき、死んでから四十九日は中有(三途の川)にとどまり、その後、生前の行いによって、地獄あるいは極楽浄土、または再び人間として生まれ変わるとしています。
日本古来の民俗信仰や地方の習慣・習俗などを取り入れ、仏教本来の教義とは異なる、日本仏教独自の葬送儀礼を行っています。
◇神道と仏教 諡 と 戒名(法名・法号)
神道 諡(おくりな)
故人の姓名の下に、男性は〝大人命〟、女性は〝刀自命〟、或いは単に〝命〟などの尊称をつけます。幼児・少年少女・成人男女・老年男女別によって諡は異なります。料金はかかりません。
仏教 戒名(法名・法号)
本来は受戒した者が、その戒律を守る証しとして授かるものです。日本では、故人を仏門に入れるために戒名を授ける風習が生まれました。戒名料がかかります。
◇ 神道と仏教 家庭での祀り方
神道 御霊璽(ごれいじ)を祖霊舎(御霊舎)に安置して、家庭でお祀りすることにより、故人はその家の守護神となり子孫を守るといわれています。御霊璽は御霊代(みたましろ)ともいわれる故人の御霊が宿る依代(よりしろ)です。
神棚と同じように、米(洗米・ご飯)・酒・塩・水を土器に盛り三方や折敷に乗せお供えします。祖霊舎の位置が神棚より低くなるようにします。地方独自の祖霊舎の祀り方もあります。
仏教 宗派により祀り方に違いが有ります。位牌に戒名を彫り込み仏壇に安置して、礼拝の対象とします。位牌の起源は、中国の儒教の死者の官位姓名を記した「位版」だといわれています。日本には鎌倉時代に伝えられ、日本古来の依代の習俗と習合しました。
◇ 神道と仏教 葬儀を行う施設
神道 葬祭会館、自宅、公民館 など
神の鎮まる聖域であるため、神社の境内で葬祭を行うことはありません。
仏教 葬祭会館、自宅、寺院、公民館 など
◇ 神道と仏教 墓所・墓石
神道 神道式霊園や神道式の墓石もありますがこだわりません。
仏教 墓所…霊園、寺院墓地
墓石…宗派により、梵字など刻む文字に違いがあります。
◇ 神道と仏教 遺族・弔問の作法
神道 玉串奉奠があります。玉串に自分の思いを託し、御霊に捧げます。一般に二礼二拍手一拝の作法にて拝礼します。拍手は音を立てない忍手(しのびて)で行います。お数珠は使いません。また、お米を焼香のように使用するなど、地方によって異なる拝礼方法があります。
仏教 数珠を使い焼香・抹香が一般的ですが宗派により異なります。立礼焼香・座礼・回し焼香などがあります。
◇ 神道と仏教 祭詞とお経
神道 帰幽(亡くなること)されたご本人の経歴などを入れた祭詞(葬儀では祝詞といわずに祭詞)を奏上して幽界(かくりよ)に送ります。
仏教 弔うのにお経をあげますが、宗派によりあげるお経が異なります。